雁須磨子はあるがまま

かよちゃんの荷物 1 (バンブー・コミックス)

かよちゃんの荷物 1 (バンブー・コミックス)

かよちゃんの荷物 2 (バンブー・コミックス)

かよちゃんの荷物 2 (バンブー・コミックス)

30歳女性の日常を描いたギャグマンガ。おもしろかった。
やー、笑った笑った。友達のおしゃべりを、あははははと笑いながら眺めているような感じの楽しさがありますね。アイテムやセリフに実感がこもっていておもしろいからだろうなぁ。や、1話あたりのページ数は少ないんだけど、そのなかに現実がみっちりと描きこんであって、読みごたえがありました。
主人公・かよちゃんのカバンを持った友達が、カバンのあまりの重さにびっくりするシーンがよかったなぁ。友達のひとみちゃんは良識派というか、ツッコミの役どころを担っていて、彼女の言動にうんうんとうなづきながら読みました。かよちゃんのだらしなさを叱責する「ちゃんとの末席」っていうセリフが白眉。
生活の一部をそのまま描き出すような方式のマンガで、脚色や想像はほとんどありません。あるがまま。マンガ家が、自分の身の回りの出来事のなかから、ただ描くだけでおもしろいことを、目ざとく選んでいる感じだね。エッセイマンガなんだけど、フィクション。おもしろい。思う力よりも、見る力が強いマンガ家なんだろうなぁ。
あと、情報量が多いわりには、脳を疲れさせるような重さがないってこともおもしろかった。絵柄も作風も視点もゆるいので、だらーっと読める。これはおもしろいバランス。読みこもうとすればそれもできるし、読み飛ばすこともできる。マニアックでゆるい。これは、なかなか実現できないバランスだと思う。
話題はいまっぽいのに、絵柄が古いのもアンバランスで不思議だったなー。人物の口が、かなり前の少女マンガの雰囲気をかもしている。絵は、全体的には竹本泉風で、部分部分、竹本より古いところもある。その懐かしさが、情報の鋭さをやわらげて、こういうバランスをつくっているのかな。や、不思議なマンガですね。
雁須磨子は雑誌ではちょこちょこ読んでいたんだけど、まとめて読むのは初めて。やー、これはおもしろいなぁ。もう少しいろいろ読んでみよう。