Bad Day

忙しい。馬車馬より息があらくなっているんじゃないかと思ってしまうくらい忙しい。世の中にはもっと忙しい人も、もちろんいるとは思うけれど、それでも忙しいと言わずにはいられないくらい、忙しい。
昨年の夏から秋にかけて、部下が大問題を起こしたためにこんなことになっているのだが、部下が問題を起こすのは、上司の俺の管理がなっていなかったからなので、誰にも文句を言えない。
部下は去っていった。問題は残った。やるせない。でも、やるせない事態に立ち向かう方法を俺は知っていた。だからあきらめず、倒れることもなく、一年間、ひどい状況を乗り切ることができた。
つらいことがあったら、R.E.M.の音楽を聴けばいい。彼らは、どんな苦境も人間の輝きを消すことはできないのだと、表現しつづけている。悩みや苦しみは、R.E.M.の音楽によって浄化される。
俺はこの一年間、R.E.M.の音楽に支えられてきた。Everybody Hurtsを、Losing My Religionを、Nightswimmingを、何度聴いただろう。救われない思いを歌う、彼らの音楽に、俺は救われた。
本当にひどい日々をすごしてきたが、俺は、自分の人生の光を見失わなかった。俺には愛する妻と息子がいて、誇れる仕事があって、愉快な友人たちがいる。日々の食べ物もある。それで十分だった。
R.E.M.の音楽は、そういうささやかなもの、ささやかでいて、大切なものに光を当てる、強い表現だ。このひどい状況は、まだもう少しつづく。俺には光が必要だ。俺は今日もR.E.M.を聴いている。