少年メリケンサック

パンク映画をみてきました。おもしろかったけど、好きではないなー。
レコード会社の契約社員YouTubeでかっこいいライブ映像をみて、そのバンドにオファーを出してみたら、実は映像は25年前のもので、バンドはもう全員おっさんになっていた、でももうオファーはとりさげられない、さてどうしましょう、というコメディ。
やー、個々のエピソードのインパクトには笑ったけど、全編を通してのグルーヴというか、話や笑いのうねりみたいなものがなかったねぇ。のりきれなかった。おっさんバンドがレコード会社を振り回す流れでは、コメディ映画としてのグルーヴが生まれるんだけど、その合間になぜか音楽論を真剣に語るようなパートが入ってきて、流れをぶった切ってしまう。笑っていいんだか、いけないんだか、わからない感じ。
やー、これきっと、宮藤さんはパンクについて思うことが多すぎるんだろうねぇ。なんかこう、変に強い主張がときおり急に顔を出してきて、不自然でしたよ。表面上はパンクバンドを茶化すような話になっているのに、その内側ではパンクの本質を語ろうとしている感じ?それは構造的に無理があるよな。宮藤さんの持ち味と気持ちがケンカしているような印象を受けました。
アレかなー。音楽を題材にした映画なのに、劇中の音楽がぜんぶ模造品なのがよくなかったのかな。マラソンの歌も曖昧模様も、さくらさくららも、上手につくってあるんだけど、達者なだけで愛がないんだよな。だから魅力がない。まぁ、はなっから映画の小道具としてつくられたものだから、愛がなくて当然なんだけどね。それで映画に現実味がなくなったのかも。
やー、俺シャインアライトをみたときにはサントラがほしくてたまらなくなったけど、このメリケンの観賞後には、メリケンに出てきた模造品じゃなくて、サケロックや向井のちゃんとしたライブをみたいと思ったよ。サケロックはあんなんじゃないだろうと思って、もやもやして。
全体的には楽しく、げらげら笑いながらみましたが、これがパンクのかっこよさを描いた映画かというと、違うと思う。音楽がいいところはほとんどなかった。音楽がよかったのは、おっさんたちが失恋した宮崎あおいをとりかこんで、恋の歌を嫌味に大合唱するところくらいだな。あの場面は心にしみた(殴)
まぁ、コメディ映画としてみるぶんには楽しいと思います。あと兄弟ゲンカ映画としても、いいと思う。そこは筋が通っていてよかった。でも音楽はなぁ。音楽はどれも擬似的で、俺にはぴんとこなかった。パンクスの生き様としても、彼らが鳴らす音楽の不自然さが気になって、しっくりこなかったなぁ。やー、音楽好きな人にはいろいろひっかかりがある映画かもしれないですね。模造品じゃアガらないからなぁ。ロックのファンは。まぁ、つまり音楽映画ではないということだな。
やー、やっぱり好きなものを題材にして映画をつくるってのは難しいことなんでしょうねぇ。その手の法則はあるんだなーってことを、しみじみと思いました。