鹿好き

俺はなぜ鹿が好きなのか、自問自答してみました。おぼろげながら、答えがみえてきました。

鹿の魅力

  • 意味がない。鹿にはよけいな意味合いがない。犬は忠実、猫は自由、象はのんびりというふうに、他の動物にはたいてい付加的な要素があるが、鹿にはない。あったとしても、せいぜい奈良と煎餅。どちらも鹿の周囲のものごとだ。鹿自身のことではない。その意味の薄さがたまらなくいい。
  • 表情がない。鹿はいつでもクールだ。犬は感動屋、猫は気分屋、象はのんびり屋。いずれも顔や仕草に表情がある。鹿にはそれがない。鹿の目はいつも、虚空をみつめている。悟りをひらいた人のようだ。鹿がなにをしたいのか、俺にはさっぱりわからない。その謎めいた姿がいい。
  • 鳴き声がない。鹿の鳴き声は普及していない。犬はワン、猫はニャー、象はパオーン。彼らの鳴き声は誰もが知っている。しかし鹿の鳴き声は、多くの人が知らない。ひょっとすると動物好きや奈良県民には常識なのかもしれないが、少なくとも俺は知らない。その主張の弱さがいい。

というわけです。わかっていただけますでしょうか。鹿はよけいなものをもっていないんです。その身軽さが好きなんです。鹿は鹿でしかない。それがいい。俺は鹿のように意味がなく、それでいて存在感のある人間になりたい。鹿はいい。あぁ。鹿になりたい。