手塚治虫は止まらない

ばるぼら (上巻)

ばるぼら (上巻)

ばるぼら (下巻)

ばるぼら (下巻)

図書館で手塚先生のマンガを発見。ばるぼら。読んだことのない作品だったので、さっそく借りてみた。したらもう内容がすごくて、これを図書館に置くってのはなかなか野心的な試みだなぁ、と思いました。
著名な作家が、ばるぼらという名の破天荒な女性に惹かれ、彼女から逃れられなくなる、という話。
基本的には作家とばるぼらの関係を描いているだけなんだけど、まー、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、忙しいマンガでした。
特殊な性癖をテーマとしてはじまって、それがいつの間にやら芸術の女神の話になり、気がつくと黒魔術の組織が出てきていて、もうなにがなにやら。異形のものに創作意欲をかき立てられる作家、というものを描きたかったのかねぇ。
とにかく異様だってことはわかるんだけど、題材は次から次へと変わるし、ストーリーもあさっての方向にすっ飛んでいくんで、まったくついていけませんでしたよ。手塚先生の異常なスピード感に、めまいがしたね。話の構成をあまり気にしないで、異常性を求めて突っ走っていく感じでした。やー、天才は怖いね。
図書館でブラックジャック火の鳥を読んだ子どもが、その流れでこれを読んだら、人間には意外な一面があるんだってことに、なんとなく気づくだろうねぇ。手塚治虫って深い!って思うんだろうなぁ。