グレッグ・モンロー

NCAA放送。今週はジョージタウン大学ホヤス@UCONNハスキーズ。ドラフト09のナンバー1センターと言われるハシーム・サビートと、話題のフレッシュマンF、グレッグ・モンローがインサイドでマッチアップ。モンローのおもしろさがみえた試合でした。

スターター

ジョージタウンのスターターはPGクリス・ライト、SGジェシー・サップ、SFオースティン・フリーマン、PFデジュアン・サマーズ、Cモンロー。4年生でエースだったCロイ・ヒバートの抜けたポジションに、新人モンローを起用。ヒバートのような固く高いセンターではなく、小さくて柔らかいタイプのセンター。
UCONNはPG A.J.プライス、SGクレイグ・オーストリー、SFジェローム・ダイソン、PFジェフ・エイドリアン、Cサビート。規格外のセンター、サビートを中心に、小さいガードを並べたラインナップ。ランキング2位の割にはスタープレイヤーはいなくて、なんだか地味な5人でした。

試合経過

ファーストハーフ最初の5分はジョージタウンが圧倒。モンローの速さとパスのうまさをいかしてインサイドを攻め、それと同時に外からサマーズがスリーポインターをヒット。UCONNはサビートがモンローのムーヴについていけず、戸惑っているようでした。あっという間に15-1に。モンローはパスがうまくて走力もあるんで、高さで守るサビートにはきつかった模様。モンローは、相手のガードからスティールして一人で走って相手をかわしてレイアップを決めていた。すごいPFですね。
その後、UCONNはタイムアウトをとって落ち着き、ガード陣のスリーで反撃。点差をつめました。ジョージタウンもモンローからフリーマンへのパスでイージーバスケットを決め、10点前後の差をキープしていました。10分すぎからUCONNがフルコートプレスを敷いてディフェンスを変更。モンローへのボールの流れを遮断しました。ジョージタウンはガード陣のレイアップで切りこむ攻撃で対抗したものの、それがあまり機能せず、点差は6まで縮まりました。その間、サビートを一時的に下げて、PFエイドリアンをモンローにつけたら、しばらくモンローが止まってましたよ。エイドリアンはよく動いていたからなぁ。動×動になったら、モンローのよさが少し消えた。おもしろいもんですなぁ。
でも、モンローはマークが変わってからは無理せず脇役にチェンジ。パスをうまく回して、チームに貢献していました。対するUCONNは、サビートを戻して仕切り直し。彼のブロックが出はじめました。サビートの高さで中をしっかり守りつつ、プライスが切りこんでファールをもらい、加点していく展開に。点差を広げられないよう、よくくいついていました。サビートにマークが集まるぶん、PFエイドリアンがリバウンドを拾っていた。サビートは間接的にプレイに関わっている感じでした。数字にならない面での貢献があったなぁ。UCONNの反撃に対して、ジョージタウンはPGライトがよくがんばっていた。ファーストハーフ終盤にタフショットをざくざく決めて、点差をキープするのに一役かっていました。
前半は結局、ジョージタウンの7点リードで終了。サビートはフィールドゴールを決められず、0点。対するモンローは得点、パス、インサイドでのポジショニングで、前半はサビートを圧倒。うまさが目立っていました。リバウンドはないけど、攻撃の起点としては素晴らしい活躍だったねぇ。
後半もモンローのスリーで、ジョージタウンが幸先よくスタート。あーこれはUCONN負けるかな、と思ってみていたら、じょじょにサビートが機能しはじめた。フリーで1本ダンクを決めてから、ジョージタウンがサビートにファールしはじめて、その影響で守備にほころびが。ホヤスはオフェンスでもスリーポインターがはずれるようになって、みるみるうちに点差がつまっていきました。
UCONNはプライスやエイドリアンの得点で点差をつめ、残り15分を切ったところで3点差に。サビート、モンローが下がっている間、エイドリアンとフリーマンが点をとりあって、4点前後の差で推移。エイドリアンは体の強さで中に入りこみ、ショットを落としてもリバウンドを押しこむ攻撃。フリーマンはドリブルで切れこんでファールを奪取。フリースローを着実に決めるのが印象的だった。
その後はジョージタウンのガード陣がターンオーバーを奪って速攻に走り、ファールをもらってフリースローを沈める展開。UCONNは大事なところで1本が決まらず、点差がまた少しずつ開きはじめました。サビートとモンローが出てきてからは、そこのマッチアップがどうしてもサビート劣勢で、それが試合全体に影響していましたなぁ。ジョージタウンのゾーンディフェンスでサビートが封じられ、UCONNは攻め手がなく、点差は11に。
UCONNはサビート、エイドリアンにボールが入らず、完全に敗戦ムード。中に入れようとしてターンオーバーという場面が多かった。核になるはずのサビートが、逆に穴になってしまった形。守備でもサビートの周囲にパスを通されていたしなぁ。終盤、ジョージタウンはサマーズのロングショット、ティップインダンクなどで追加点。リードは最大17まで広がりました。ジョージタウンは僅差になったところでフリースローを落とさなかったのがよかったね。それで精神的にも優位に立って、スキをみせなかった。

スタッツ

最終スコアは74-63。結局、注目されたセンター対決で新人モンローが圧勝。それが勝敗を決したと言ってよさそうです。モンローのスタッツは27分16p(FG6-10、3pt2-2)3r4a3s。それほどすごい数字ではありませんが、相手のサビートを34分4p7r7bと押さえこんだことを含めれば、見事な活躍。
ジョージタウンはサマーズが18p4r3a、ライト16p2a、フリーマン13p(FT5-5)6r2sと、モンロー以外もしっかり役割をこなしていました。控えの層が薄そうでちょっとアレですが、スターターが出ている間は強いんじゃないかな。対するUCONNは、サビートの脇でシャドー・ストライカー的に動いたエイドリアンが15p5r。数字以上に、リバウンド争いにからんでいました。ハートの強いプレイヤーですな。ガード陣の主役プライスは、16p5r2a。彼がもう少しやらないと、サビートも伸びてこないと思います。ハスキーズは控えに光るものがありました。新人PGケンバ・ウォーカーが22分14p、PFスタンレー・ロビンソンが21分4p5r。ロビンソンはとにかく高く跳ぶタイプのフォワード。

注目プレイヤー

モンローはゴール下での得点のほかに、ノーマークでのスリー、速攻からのレイアップ、ドリブルでサビートをかわしながらのフックショットと、得点の仕方が多彩。試合中盤、ファウルがかさんでオフェンスにしか出ていない時間帯もありましたが、それでも16得点なんで、まぁ期待以上と言っていいんじゃないでしょうか。サビートに対する守備もよかったです。ローポストのポジション争いをしながら、手を伸ばしてパスカット。あとはじゃんじゃん跳んでリバウンドをとれたら最高ですな。ラシード・ウォレスとかアントワン・ジェイミソンとか、ああいうタイプの器用で安定感のあるPFになりそう。フットワークがいいのと、無駄な自己主張がないのがいいですね。
サビートは、7つのブロック以外、あまりいいところがありませんでした。ダブルチームを集めて地味に貢献してはいたけど、ちょっと弱かった。オフェンス面では、相手を蹴散らすような強さも、パスアウトするうまさも、まだ持ちあわせていないようでした。ディフェンスでは、とにかく高くて手が長いからブロックはよくするんだけど、ポジショニングもプレイの読みも不足していて、リバウンド争いにはさほどからめていなかった。あれだけ身体能力が高くて、なぜスタッツが上がってこないのか不思議だったんだけど、なんとなくわかりました。プレイの種類がまだ少ないんだね。バスケ経験がまだ数年だそうなので、NBAに行ってから伸びるとは思いますが、判断の鈍さをどうにかしないといかんような気もします。とくに平面の守備。マークをはずしちゃったり、マークしていてもパスをするする通されちゃったりして、インサイドがザルになっていた。モンローとの1対1も、ほとんど負けていたしなぁ。あの身長で守りの核になれないってことは、この先ちょっと時間がかかるかもしれません。ドラフト・エクスプレスでサミュエル・ダレンバートに例えられていますが、まさにそんな感じです。身体能力はあるのに、それが完全には発揮できていないタイプ。
2人以外で気になったのは、ジョージタウンで優れたオフェンス能力をみせたサマーズ、落ち着きのあるフリーマン、そしてUCONNのPFでハートの強さをみせたエイドリアン。フリーマンはNBAチームのセカンドユニットのSGとしてはすごくいいと思います。主力が機能している間は歯車になって、戦況が変わったら自分で点を取りにいくタイプ。インサイドへの突進を怖がらない。そしてフリースローが上手。ずっと静かにプレイしていたけど、ここぞという場面ではファールをもらって叫んでいた。いいプレイヤー。突出した力がないから、NBAには行けないかなぁ。おもしろそうだけど。パスを磨いてAJみたいになったらいいんじゃないすかねぇ。