A.J.エイブラムス

NCAA第5週目。UCLAブルーインズテキサス大学ロングホーンズ。強豪同士の対戦です。主力がごっそり抜けたUCLAに対して、テキサスは大黒柱のD.J.オーガスティンを失ったものの、ほかのメンバーはほぼ残っています。ホームのテキサスが戦力的にも優位に立っている状況で、UCLAは意地をみせられるか。
UCLAのスターターはPGダレン・コリソン、SGジュルー・ホリデイ、SFジョッシュ・シップ、PFジェイソン・キーフ、Cアルフレッド・アボヤ。ウェストブルックの抜けた穴に期待の新人ホリデイを入れ、ムバ=ア=ムウテとラヴがいなくなったフロントコートには、昨季控えでがんばっていたキーフとアボヤが昇格。コリソンとシップはそのままのポジションです。まぁ、順当な引き継ぎと言えるでしょうな。スターターの大半が3〜4年生なので、安定感があります。
ロングホーンズはPGジャスティン・メイソン、SG A.J.エイブラムス、SFダミオン・ジェイムズ、PFコナー・アッチレー、Cデクスター・ピットマン。こちらは全員3〜4年生。勝手知ったるなんとやらですね。去年控えだったピットマンを5番に入れて、アッチレー、ジェイムズをそれぞれスライド。2番3番的な役割だったメイソンを1番にして、オーガスティンの穴を埋めさせるというフォーメーションです。メイソンはもともとボール回しがうまいらしく、1番がしっくりきている様子。
注目は、UCLAのエースにのしあがったコリソンと、NBA入りをやめて大学に残ったエイブラムスの点取り対決。どちらも線が細くてプロではどうか、というタイプのガードなんで、NCAAでどこまでポテンシャルをみせられるかがポイント。
で、試合は前評判通り、コリソンとエイブラムスの一騎打ちに。どちらも前後半通してエース的なプレイをしていて、なかなか見応えのある激突でした。ファーストハーフは、エース同士は互角で、それ以外の要素でテキサスが優勢に進める展開。ホームコートでよく笛を吹いてもらったことと、球際でよく粘ったことが、テキサス優位の要因かなー。みんなよくリバウンドにくらいついていました。ダミオン・ジェイムズが身体能力をいかしてぼんぼん跳んでいましたよ。あの人すごいね。13p13rでした。ほかにもアッチレー、メイソン、控えフォワードのゲイリー・ジョンソンあたりがちょこちょこ拾っていたなぁ。ジョンソンも体が強くておもしろかった。7p5r。高さと強さでは、テキサスに分があったね。前半はテキサスが10点弱リード。
対するUCLAは、コリソンのシュート頼みな感じでした。彼はこの試合の前まで、ものすごい確率でショットを決めてきたらしく、テレビ画面にたびたび彼のFG%が表示されていました。FG6割、3pt7割だったかな?シーズン序盤とはいえ、本当にむちゃくちゃな数字でしたよ。なんつっても、背の低いポイントガードだからねぇ。コリソンはロングショットが好調で、外から撃ちつつ、相手がスキをみせると、すいすい中にも入って点をとっていました。この試合では36分22p(FG9-22)2r5a2s、6to。結果は残したけど、絶好調ではなかったなー。彼はスピードと得点能力は優れているけど、NBAではどうですかねぇ。もう少し安定感や、周囲をいかす力がないと、スターターにはなれない気がするけどねぇ。
セカンド・オプションのシップは、去年はけっこうスリーポインターを撃っていた印象があるんだけど、この試合では速攻でのフィニッシュで得点していました。ウェストブルックが抜けたからかねぇ。彼は31分15p(3pt1-2)3r3s。で、もう一人のガード、新人ホリデイはあまり目立たず。ただボールを回しているだけ、ってな感じでした。いろんなプレイにからんではいたけど、決定的なことはしなかったなぁ。まだ慣れていないんすかね。や、残念。35分出て3p6r4a2s1bです。インサイドのアボヤは体をはっていました。ビッグマンが少ないから、彼は大変だね。ベンチメンバーでは、控えPFのニコラ・ドラゴヴィッチが外からざくざく撃って目立ってました。でもそんなに入らず、脅威ではなかったね。UCLAはホリデイや控えメンバーがもう少しステップアップしてくれないと、トーナメントでは厳しそうだなぁ。
セカンドハーフは、コリソンとシップの速攻でUCLAが盛り返す展開。速さではUCLAのほうが勝っていたなー。ただまぁ、攻め手が彼らのワンツーパンチしかないんで、さすがに限界がありますわな。終盤は守られて点がとれなくなってました。最後はテキサスのエイブラムスが勝負強いところをみせて、62-62の同点の場面でスリーポインターをヒット。その3点がきいて、68-64でテキサスが勝ちました。エイブラムスは39分31p(FG9-18、3pt5-9)3r0a。彼は完全にシューターですな。体がかなり細くて、シュート以外はあまり期待できない。クイックリリースが自慢のシューターとして、ベンチに入ることはできるかもしれないけど、それにしてもちょっと細いかなー。ロケッツのアーロン・ブルックスみたいなイメージですな。
や、エースガードを中心としたチームで、インサイドにスタープレイヤーがいない、という似たもの同士の対戦だったわけですが、勝負の決め手になったのは、エイブラムスの勝負強さと、テキサスのチーム力ですな。メイソン、ジェイムズ、アッチレーあたりの連携がよかった。ホリデイがいまひとつフィットしていなかったUCLAとは、その点で差がみえました。あとはコリソンがラスト1、2分で決定的なショットを撃てなかったことでしょうな。
しかし、ジュルー・ホリデイという人はなぜドラフト上位指名が予想されているんだろう。少なくともこの試合では目立っていなかったけどなぁ。でもそんだけ話題になるってことは、なにかすごいものをもっているんだろうねぇ。スカウトってすごいな。よくまぁ、人のポテンシャルを読みとれるものですね。やー、ホリデイはトーナメントでもう一度みたいなー。