マイク・ダントーニに拍手を

フェニックス・サンズの2007-08年シーズンが終了。お疲れさまでした。
またしてもスパーズ相手の敗退。無念だが、勝敗は明白であった。スパーズは強い。スティーヴ・ナッシュとマイク・ダントーニの快進撃は、おそらく今年で終わりだ。ダントーニが残っても、かつてのような速さでは走れない。悲しい。悲しいが、彼らがみせてくれた美しさがスポーツの理想であることには、変わりはない。彼らは美しかった。なによりもまず、あの美しさに拍手を送りたい。マリオンを失いながら、よく走ったと思う。
ファースト・ラウンド第1戦は、好ゲームだった。サンズは美しく戦い、終始スパーズを圧倒したが、最後の最後にティム・ダンカンとエマヌエル・ジノビリの勝負強さに屈した。
第2戦、第3戦は気落ちしたサンズが状況を打開できず、あっさりと連敗。トニー・パーカーにいいようにやられた。日を追うごとに、敗色濃厚に。
サンズは第4戦でようやく復調。グラント・ヒルに代わって3番に入ったボリス・ディオウが大活躍。トリプルダブルに近いスタッツを残し、チームを窮地から救った。新加入のヒルとシャックではなく、ディオウが救世主となったことが、皮肉だった。
そして迎えた第5戦。序盤はスパーズリード。このまま終戦かというムードであったが、後半になってサンズが奮起。3Qを3点リードで終えた。4Qは一進一退の攻防。サンズはよく攻めたが、フロントコート全員が5ファウルに。スパーズは試合を通してハック・ア・シャックを実施。終盤、残り25秒を2点ビハインドで迎える接戦であったが、サンズ最後の攻撃はナッシュがインバウンド・パスを受け取れず、ターンオーバーに。ジノビリがフリースローを沈めて勝負あり。
第1戦も、第5戦も、力の差はほとんどなかったように思える。両者の差は、試合を決める場面での落ち着きにあった。その一点に尽きる。第1戦ではアマレがゴール正面のシュートチャンスをオフェンス・ファウルにしてしまった。第5戦は、ナッシュが最後に言い訳のできないミスをした。ワンプレイで勝負が決まるカードだった。今年もまた、サンズはワンプレイに泣いた。シャキール・オニールの獲得では、彼我の差は逆転できなかった。悔しい。今年の敗退は、注釈のつかない、純然たる敗退だ。しょうがない。
ナッシュは来年も走れるだろうか。半年間、彼の健康を祈り続けよう。悔しいが、いまはそれしか思いつかない。
マイク・ダントーニ「勝ち方を知っているチームに当たって、まんまと敗れてしまった。前半も後半も、終了間際にチャンスはあったんだ。でも、その大事な場面で優れていたのは彼らのほうだった。それがサンアントニオ・スパーズのチャンピオンたる所以だよ」
ティーヴ・ナッシュ「もう少し落ち着いてプレイするべきだった。僕の責任だ。僕がいくつか、まずいターンオーバーをした。それが痛かった。僕らは勝者ではなかったよ。僕らには、彼らがみせた力以上の能力があると思う。でもそれは紙の上での話だ。スパーズは経験も、実行力も、理解度も、僕らを上回っている。彼らのチームプレイ、攻守両面での堅実なプレイには、到底かなわない」
アマレ・スタウダマイヤ「ファンの目には、サンズは毎年毎年スパーズと戦って、いつもいつも負けているようにみえるだろう。まぁ、俺がサンズにいれば、遅かれ早かれ、俺たちが勝つ日はくるだろうが、しかしまぁ、それにしたって、やってられねえな。ったく、もうこんなのはたくさんだ」
ラジャ・ベル「彼らは目にみえない部分で、俺たちより勝っていた。ほんの小さなことだ。駆け引き。細部への注意力。ゲームプラン。勝つために必要な、細々とした、さまざまなことの徹底。それができるから、彼らはチャンピオンなんだ。それができるから、彼らは誰がなんと言おうと、正しい道を歩み、毎年チャンピオンシップを争うことができるんだ」
トニー・パーカー「最後は第7戦の4Qだと思ってやっていたよ。とにかく、あきらめずに戦い続けた」