スティーヴ・ナッシュ

NHKBS1でウォリアーズ@サンズを観戦。シャック加入後のサンズの試合がBS1で放送されるのは、これが2回目かな。
前回はたしか、2月中旬のセルティックス戦。サンズは勝ちこそしたものの、みんなでターンオーバーを連発していて、なんとも不安なムードだった。いま調べてみたら、その試合のチーム全体のターンオーバーが24、対するアシストが14。オールスター前の平均がターンオーバー13.3、アシスト27.3だから、やっぱり連携が悪くなったってことだろうねぇ。
セルツ戦はとくに、速攻時のパスが乱れていた。速くて強いパスが、なかなか通らない。試合開始早々にバルボサが負傷退場して、ボールを回せる人が少なくなったという難点はあったんだけど、それにしてもパスワークが悪かった。よかったのは1Q序盤だけ。序盤の数分は、シャックが中をかためてリバウンドをとる、外の連中は走る、という理想的な形が出ていた。それ以外の大半の時間は、ハーフコートの攻防とファストブレイクがいまひとつかみあわず、ボールを失う場面が頻出。セルツのピアース、アレンが不調だったからなんとか勝てたが、負けてもおかしくないプレイぶりだった。
で、それから3週間がすぎ、今度の相手はウォリアーズ。サンズと同じラン&ガンスタイルのチームで、なおかつ相手のほうが若い。今季はこれまでに二度、ウォリアーズのホームで戦い、二度ともサンズが敗れています。114-129と、118-120。点をとっても、それ以上にとり返されて敗戦、という試合。その若く攻撃的なウォリアーズに対して、新生サンズはどこまで守れるのか、そして撃ち合いにはどこまでついていけるのか、というところを楽しみにみてみました。
スターターは、ウォリアーズがPGバロン・デイヴィス、SGモンテ・エリス、SFミカエル・ピートラス、PFスティーヴン・ジャクソン、Cアル・ハリントン。相変わらず、極端なスモール・ラインナップ。サンズはおなじみの5人。ナッシュ、ベル、ヒル、アマレ、シャック。
試合はウォリアーズのペースでスタート。デイヴィス、ピートラスが口火を切って、得意の速攻を展開。サンズもアマレのショットでやりかえしてはいたが、1Qを通じて、終始劣勢。相手のほうが勢いがあって、サンズはペースをつかめず、例によってターンオーバーを重ねていましたよ。そしてシャックは1Qからファウルトラブルに陥り、ほとんど出場できずに不満顔。やっぱりチームの熟成が進んでいなくて、流れをつくれないのかなー、という印象の滑り出しだった。
2Qに入ってから、ベル先生やバルボサ、新加入SGゴーダン・ギリチェックのスリーポインターが決まりはじめた。ただ、相手もデイヴィスが絶好調、エリスも抜け目なく速攻をヒットという具合で、点差はそのまま。サンズも1Qの流れのままやられっぱなしではなかったが、ターンオーバーの多さは相変わらず。でも、ウォリアーズが速さを重視してジャクソンをフロントコートで使い、彼をアマレとマッチアップさせたことが大きな穴に。さすがのジャクソンも、オールスターPF相手ではどうしようもない。サンズはアマレにどんどん攻めさせて、突き放されずによく追いついていた。現地音声でみていたら、現地の解説の人も、ジャクソンはテリフィック・ディフェンダーだが、彼にアマレは止められないと言っていました。
後半戦はサンズが爆発。皮肉にも、シャックがベンチにさがった時間に速攻炸裂。ナッシュやバルボサがすいすいボールを運び、ベル先生が会心のスリーポインターを次々にヒット。美しいシュートタッチと、表情を変えずにディフェンスに戻る先生の姿をみて、涙をこぼしてしまいました。やー、あれはじわっとくるねぇ。マリオンがいなくなった、シャックが来た、チームが落ち着かない、なかなか勝てない、サンズはもうダメか、と言われているなかで、先生はなにも変わらず、強い気持ちでスリーを放っていた。彼の視線をみていたら、なんとも言えない気分になってしまいました。69-66にしたときの一発が、本当に本当に美しかった。先生!
3Q中盤をすぎ、両チームの得点が70を超えたあたりから、サンズの勢いが加速。先生の一発に続いて、ナッシュがスリーを決め、アマレがファウルをもらい、ディオウが速攻を決め、という具合に、得意のラン&ガンでウォリアーズを圧倒し、10点以上のリードを奪いました。やー、素晴らしかった。ナッシュの長いパスはやっぱりいいなぁ。相手を切り裂くあの感じがまたみられて嬉しかった。そういえば、セルツ戦ではアリウープや長いパスがほとんどなかったんだけど、今回はシャックの軽いアリウープも出たし、長いパスで瞬間的に決める速攻もみられた。慣れが出てきたんだろうねぇ。
4Qはお互いに攻め合う展開。ウォリアーズのデイヴィスは最後までえらく好調で、ざくざく決めていたが、サンズも負けじとアマレ、ディオウが攻めつづけていた。結局、サンズが最後までリードをキープして、難敵ウォリアーズ相手に快勝。ラスト数分は相手の攻撃をしっかりまもって速攻からアマレがダンク!という場面が続き、USエアウェイズセンターはおおいに盛り上がっていました。やー、いいなぁ。あのアリーナに行ってみたい。サンズが燃え上がったときに流れるあの「ダーッダダー、ダダダダー♪ウッ!」っていう音楽のなかに入ってみたい。やー、サンズかっこいいなぁ。
シャックを使いながら勝つという試合ではなかったけど、シャックがいる時間帯も、そうではない時間帯も、以前に比べてだいぶ落ち着いてきた。サンズは前半、プレイを急ぎすぎてファウルがかさみ、そして判定へのリアクションでいくつもテクニカルをとられていたんだけど、後半はターンオーバーが減り、ファウルも減り、攻守ともにスマートなプレイがみられました。やー、楽しかった楽しかった。
いちばんよかったのは、アマレ。39分36p11r3a2b。ジャクソンもハリントンもビードリンスも彼を止められず、やりたい放題だった。ダンクも5発くらい決めていたねぇ。ナッシュも、デイヴィス&エリスに61点もとられちゃって守備はアレだったけど、そのぶん攻撃はお見事。36分21p4r13a、ターンオーバー3。ベル先生は3pt4-6で18p、ターンオーバーゼロ。先生はほんといつも最高だよな。シャックは9p4rでファウル5。出ていた時間は機能していたんだけど、軽い接触をいくつもファウルととられて、不運だった。
ウォリアーズではデイヴィスが孤軍奮闘。46分38p9r8a。タフなショットをさくさく決めていて、いったいなにごとかと思った。デイヴィスのプレイがなかったら、サンズの圧勝だったねぇ。デイヴィスは本当にものすごい攻めっぷりだった。彼と23pのエリスはよかったんだけど、ほかの人たちはメロメロ。ピートラスが16p8rでそこそこきいていたくらいで、ジャクソン、ハリントンはアマレの対応に追われて疲労困憊。ふたりでFG8-24(3pt2-9)の24p、ファウル7個でした。ビードリンスも5個しているなぁ。アマレがインサイドを制したということでしょうな。拍手拍手!
というわけで、勝ったには勝ったけど、やはりシャックとの連携にはまだ不安が残っているようです。あと1ヵ月でどこまでまとめられるか、っていう話だねぇ。現状では、まだ強さがみえてこない。模索中、試行中、という感じ。やー、チーム大改造で大変だとは思うけれど、時期が時期だけにちょっと不安だねぇ。勝たないと、ホームコート・アドヴァンテージがとれないしなぁ。やー、道は険しいですな。
最後に、そんなチーム状態について、冷静にみている人とすっかり盛り上がっちゃってる人のコメントを意訳でどうぞ。
ティーヴ・ナッシュ「まだまだトレーニングキャンプ・モードだね。今年いっぱいは仕方ないんじゃないかな。ただ、学習はしているし、だいぶ慣れてきたとは思うよ。ふたつのプレイスタイルにも、それをどう切りかえるかってことにもね。どうやったら簡単に、効率よくプレイできるのか、学んでいるところだよ」
アマレ・スタウダマイヤ「やっていけるよ。肝心なのは、プレイオフの時期にどこまで適応できているかってことだ。俺たちはビッグボールもできるし、スモールボールで走り勝つこともできる。サンズはその両方でベストだ」