のぼう様

のぼうの城

のぼうの城

読みはじめたときは、時代小説って難しいなー、困ったな読めるかなー、と思ったが、10ページ越えたらすいすい読めるようになった。現代文で書かれていれば、読めるもんだね。のぼう様とおもう様って、語感が似ているな。
読んだ読んだ。おもしろかったー。以下ネタバレネタバレ。
やー、マンガみたいな小説ですね。変な武将と、その家来たちの話。実話ベースで、細部は脚色されています。
主人公の武将は、ふだんは何もできないでくのぼうなんだけど、いざというときには意外と頼りになるというキャラクター。成田長親という実在の人物なんだそうです。才能はないけど、行動力や判断力はあって、人望も厚い。ま、ざっくり言うと劉備みたいなもんですね(てきとう)
その長親さんと、彼に仕える正木、柴崎、酒巻という武将の活躍が書かれています。正木は文武両道の男。いつも冷静なリーダー格。関羽みたいなもんだね。柴崎は力自慢。張飛みたいなもんです。酒巻は、ケンカの腕は人並みだけど、軍略や戦術を練るのが大得意。彼は誰だろう。趙雲でも孔明でもないんだよなー。戦功を欲しがっている、自信過剰な若者。馬謖かな?あんなに先走ってはいないかなぁ。
と、いうようなキャラの立った連中が、自軍の10倍の戦力をもつ敵を相手に、城を守り抜こうとします。敵方の総大将は石田三成。三成の打ち出す戦略に対して、長親や彼の家臣たちが徹底抗戦。その戦いぶりを楽しむ本ですね。
やー、人物が魅力的で文章も読みやすいんで、すいすい読めましたよ。難解なテーマもないし、悪い人も出てこないし。ザッツエンターテインメントですね。楽しく読書したい人におすすめ。マンガ版の三国志が好きな人は、楽しめるんじゃないすかねぇ。しかしまぁ、この話にオノ・ナツメをつれてきたってのは、すごい判断ですな。たった1枚の絵が、本の魅力を何倍にも増強している。やー、素晴らしい。拍手拍手。