プロ野球ファンはデータ大好き
- 作者: 小野俊哉
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2009/06/17
- メディア: 新書
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データといえば、記録の神様・宇佐美徹也さんが先日亡くなりましたね。悲しいことです。宇佐美さんのお仕事が球界に残したものは本当に大きい。彼なくして、今日の豊かなプロ野球報道はなかったでしょう。
読み終わったので、いくつか追記。
データが豊富でおもしろいんだけど、その分析の仕方、語り方は好みじゃなかった。著者が数値をもとに、プレイの背景を想像して、論をふくらませていくんだけど、そのふくらませ方に品がない。記録や分析よりも、主張が目立っているところがあった。書きたいことがたくさんあるんだろうね。この人。
とくに品がなかったのが、この記述。
自分のチームの初回リード勝率を知らないようでは、指揮官としては失格でしょう。
プロ野球の監督たるもの、初回リード勝率の重要性を理解して、それをプレイヤーに教えないといけない、というのが著者の持論なんだそうですよ。で、ある監督にその点をたずねてみたら、そもそも初回リード勝率を知らないと言われたと。それに閉口して、上のような文章を書いているんですね。
なんつうかなぁ。データってのは野球の副産物であって、データを知らなきゃ野球ができないなんて考え方は、本末転倒だよな。文中にこういう記述が散見して、鼻につきました。
あと、データ本を出している人なのに、出典の記載がずさんだね。監督、選手の発言をかなりたくさんひろっているんだけど、そのほとんどに、出典が書いていない。しかも、実際の発言と、著者が想像した架空の発言を、区別せずに書いている。フィクションには「〜と言ったのではないでしょうか」「〜と言ったかもしれません」って書いてあるんだけど、よく読まないと、現実か空想かわからない。
記録記事なんだったら、出典にはもう少し気をつかわないとなぁ。結局、引用の表記の問題と、主張が強すぎることで、客観性を欠いた本になっていますね。まぁ、新書だから仕方ないのかな。データの集計だけして、書くことはほかの人にまかせたほうがよかったんじゃないかと思いました。データ自体はおもしろいんだけどなー。