魂のゆくえの感想その13

はじめのうちはソロっぽいなーと思っていたんだけど、ライブをみたら印象が変わった。スリーピースのコンパクトな演奏を聴いて、ああやっぱり岸田はなんだかんだ言ってロックバンドが好きなんだなぁ、と思った。そうしたら、このアルバムの一貫性のなさは表面的なものなんだということに気づいた。音源は曲ごとに肌触りが違っていて、あまりバンドっぽくないんだけど、それは仕上がりが違うだけで、骨組みはやっぱりバンドサウンドなんだ、たぶん。すべての曲がシンプルに鳴らされたライブで、それがわかった。ソロのアーティストがやりたいことをいろいろやった結果、いろんな曲ができたのとは違うんだね。ロックバンドがやりたいことをいろいろやった結果、こうなったんだ。あらためて考えてみると、シンプルなことだな。なんでわからなかったんだろう。
や、今回は音源とライブの違いがすごいと思いますよ。アレンジを大きく変えているわけでもないのに、だいぶ違う。音源は表情がつかみにくく、不思議なものだけど、ライブはどこからどうみても、ロックバンドのライブだった。すごい一体感だったもんなー。やー、変なバンドになりましたね。くるりは。岸田が石川さゆりに「あ、石川さん、ドラムのボボです」って紹介したとき、自然な言い方だったもんなー。サポートに入ってもらっているボボじゃなくて、ドラムのボボなんだね。
やっぱり俺にはくるりの音楽に対する先入観があるから、それと違うものを聴くと、岸田ソロっぽいとか、そういうずれた感覚をもってしまうんだろうな。でもこれがいまのくるりなんだなー。やー、やっぱライブっていいな。