口から出まかせ出放題

ツチヤ学部長の弁明

ツチヤ学部長の弁明

ツチヤ先生の本を読んでいます。例によって、金言が満載。もはやすべての文章が格言だと言ってもよいのではないでしょうか。ここに人生のすべてが書かれているような気がします。なかでもとくに恐れ入ったのがこちら。

男が「妻はバッグを十個もっている」と思っていても、実際にはその十倍はもっていると見て差し支えない。

や、これほど的確に人生の奥深さを表現した文章を、俺はほかに知りません。本当、俺にわかっていることなんて、ごくわずかなことなんですよ。世の中は不可思議なものごとに満ちていますよね。いやいや、本当、心にしみいりますね。

殺人鬼 (角川文庫)

殺人鬼 (角川文庫)

先週は横溝正史を読みました。金田一の短編集。表題作は、世の中の500人に1人は殺人鬼だといいますよ、あなたの隣人は大丈夫ですか?そういえば最近、旦那さんがずいぶん長い間出張に行っていますねぇ、ひょっとして裏庭に埋まってたりしてね、えっへっへ、みたいな話。殺人鬼が出てきて、金田一に真相をあばかれます。タイトル通りの出来で楽しかった。
ほか3編もよかった。いずれも凝ったトリックはなし。ってか犯人の思い通りにいった事件はひとつもなくて、どの話も、いろんな人の思惑がからみあった結果、おかしなことになってしまったという筋立てになっています。やー、世の中無情だなぁ、と思いながらしみじみ読みました。昔の商業作家は読みやすくていいね。これぞ娯楽作。