映画祭り

この週末は、家で映画をじゃかじゃかみました。DVDを借りてきて、昼に1本、夜1本、翌朝1本、夜1本。やー、映画って本当に。

裏窓 [DVD]

裏窓 [DVD]

ダークナイト 特別版 [DVD]

ダークナイト 特別版 [DVD]

チーム・バチスタの栄光 [DVD]

チーム・バチスタの栄光 [DVD]

以下、なるべく核心にはふれないようにしていますが、たぶん多少ネタバレもありまーす。ご注意あれ。

サウンド・オブ・ミュージック

1本目はサウンド・オブ・ミュージック。音楽の調べ。妻のおすすめ映画。ミュージカル作品です。高原でドレミの歌を歌うアレですよ。
ミュージカルってあまりみたことがなくて、最初はちょっと構えてしまいました。みはじめると、すぐ慣れるものだね。慣れるとむしろいっしょに歌いたくなるね(殴)ミー♪はお〜れの〜こ〜と〜(´Д`)
や、これは修道院のおてんば娘が、母を亡くした一家の家庭教師になって、子どもたちを元気づける話です。厳しい父親に叱られ通しだった子どもたちが、音楽を通じて笑顔になって、ぎゃーぎゃー遊ぶのが、楽しげでよかったですよ。やっぱり音楽はアガるよね!音楽と主役の人の軽やかな足どりが最高でしたよ。ものすごい躍動感!
まぁなにしろミュージカルなんで、出てくる人出てくる人がわいわい歌うんだけど、そのメロディがどっかで聞いたことのある曲ばかりでびっくりしました。世の中のCMソングのいくつかは、サウンド・オブ・ミュージックから引用されているんだな!ぜんぜん知らなかったよ。やー、名曲ぞろい、名演ぞろいでたいへんに満足のいく映画でした。楽しかったなぁ。音楽まじアガる。
や、ただ、全体的には楽しかったんだけど、終盤で一家が戦争に巻きこまれて、おそろしい目にあうのは、ちょっと悲しかったなぁ。その前で終わってもよかったような気がする。でもそれじゃただ脳天気な話になっちゃうかねぇ。

裏窓

2本目は裏窓。rear window。俺のおすすめを妻にみせました。アルフレッド・ヒッチコック。ザ・マスター・オブ・サスペンス。ヒッチコックは最高よね(´Д`)
これは怪我をしたカメラマンが、自宅の裏窓から近所をのぞいて、隣人の犯罪をあばき出す話です。有名よね。主演ジェームズ・スチュワート、相手役にグレース・ケリーという黄金コンビですよ。美男美女としか言いようのない二人組!
やー、裏窓はもう何度もみているんだけど、しかしまぁよくできた映画ですな!足を怪我したカメラマンが、隣に住むセールスマン夫妻のケンカを目にする。その日以来、セールスマンの家から妻の姿が消える。カメラマンは、夫が妻を殺したのではないか、と疑いはじめる。でも怪我しているから自ら調査に出向くことはできない。ただひたすらに裏窓から隣家を見張り続ける、っていう展開。そういう設定なんで、この映画には最初から最後までカメラマンの家と、そこからみえる隣家しか登場しません。裏窓からみえることだけで推理が進み、ストーリーが展開していきます。すごいぜー。なにしろまぁ、裏窓っていう狭い空間を、演出と脚本でいかしきるからね。密室劇が好きな人はぜひ。
ちなみにこれ、原作は35ページほどの短編だそうです。登場人物は主人公、主人公の相談相手、犯人の3人だけなんだって。映画に登場する、主人公の恋人や看護士、犯人以外の隣家住民は、原作には出てこないらしい。シンプルな原作にいくつか肉付けをして、ちょっと複雑な作品へと変えているわけですな。恋人によって恋愛の要素が追加され、看護士の愉快なしゃべりによって息抜きの時間ができ、住民の増員によって、飽きがこないようになっています。で、それが最後にぜんぶきれいに収束します。つけたされた要素がストーリーに奥行きを与えて、娯楽作としていいバランスに仕上がっていますよ。お見事お見事。そのへんの裏事情がいろいろわかるメイキング映像も楽しいものでした。スタッフインタビューも興味深いものだったなぁ。や、DVDはいろいろ特典がついていていいですね。またヒッチコックをなにか借りてこよう。うんうん。

ダークナイト

3本目はダークナイト。dark knight。騎士のほうのナイトですね。これは俺も妻も気になっていたもの。去年公開された、バットマン映画です。
や、こーれは評判通りおもしろかった!バットマンのことをよく知らないでみはじめたんだけど、それでも楽しめましたよ。おすすめおすすめ。基本的には正義の味方を描いた作品です。でもシンプルな勧善懲悪ものではなくて、逆説的に「正義の味方がいるから、悪いやつも出てくるんじゃないの?」っていうテーマを扱ったもの。
テーマがテーマなんで、バットマンはほとんど脇役みたいな扱いです。主役は敵のジョーカー。ジョーカーという巨悪が、正義の味方バットマンや、その理解者である刑事、検事たちに「お前たちのやってることなんて無駄だよ〜」「人間はみんな欲深いんだよ〜」「正義だ正義だって言えば言うほど、悲劇は増えるよ〜」ってな感じのメッセージを送り続ける話です。正義の人たちは、悪を倒すためにそれぞれ知恵をふりしぼっているんだけど、考えすぎて疑心暗鬼になったり、慎重にしすぎて攻めどきを逃したり、散々な感じでした。味方だと思っていた人に裏切られて、正義が嫌になって、悪に染まっちゃう人がいたりしてね。や、残酷な話ですなー。
結局、世の中甘くないなぁ、つらいなぁ、でも地道にやっていくしかないなぁ、ってな感じの結びになっていくんだけど、全体を通して、ちょっと悪に寄りすぎている感じがしました。ふつうこういうのって、主役のバットマンは銃で撃たれても弾丸をよけ、怪我をしても軽傷ですむってのが決まりだと思うんだけど、この映画は逆なんだよね。バットマンはたびたび怪我をして困っていて、逆にジョーカーは、いくら殴られても怪我をしない。そして、警察や病院に忍びこんでも、絶対にばれない。こんなに恵まれた悪役、なかなかいないんじゃないでしょうか。これ、テーマを逆転させたのにあわせて、パワーバランスも逆転させているんだよなー。そこがおもしろかった。
まぁ、悪は絶えないっていう話はあまり好きじゃないんですが、映画としてはすごくおもしろいです。正しく生きるのは大変だなぁ、と思うね。合法的な正義は弱い、非合法の正義は許されない、現実的な正義は嘘をつく、という厳しい現実。俺は現実主義者に賛同しながらみていました。や、生活上の実感に近い「正義」がみられる映画ですな。かすかではあるけれど、美しい正義も描かれていますよ。そこで心があたたまる。しっかりと練られた、誠実な映画です。おすすめおすすめ。

チーム・バチスタの栄光

4本目はチーム・バチスタ。これはレンタルではなく、ケーブルテレビで放送されていたもの。医療ミステリーとしておなじみのアレですね。これ、原作の小説では主役が男性なんだけど、映画版では女性に変更されています。映画には、ほかにもいろいろ脚色が。
やー、映画オリジナルの脚色部分が、どれもあまりよくなかったねぇ。原作通りにつくると男性医師の会話と手術の場面ばっかりになっちゃうから、あえて女性やスポーツ、音楽っていう、変化のつく要素を入れたんだろうけど、そういうのがことごとく蛇足になってましたなぁ。や、原作がよくできた話なんだから、そのままやってもよかったんじゃないかねぇ。そのままでも、映画として成り立つ作品だと思いますけどね。ってか、原作では主役が記者会見で大見得を切るところが名場面なんだけど、そこが削られちゃっているんだよなー。あれをちゃんと描けば、病院だけでもなんとかなった気がするけどねぇ。
そんなわけで、結果として、原作の根幹を削り、無意味な騒ぎをたした、という形になっています。残念。これは原作ファンはみないほうがいいですな。やー、裏窓をみたあとだけに、余計にこう思うんだろうなぁ。あれも原作ものだけど、根幹はそのままに、楽しい要素をつけたして、いいバランスに仕上げているからねぇ。どうしても比較してみちゃいますわなぁ。