ジョニー・フリン

NCAA第3週目。カンザス大学ジェイホークス@シラキュース大学オレンジ。CBEクラシックというトーナメント?の決勝戦でした。NCAAトーナメント前年度チャンピオンのカンザス大が登場。ラッシュ、チェルマーズ、アーサー、ロビンソン、ジャクソン、カウンが抜けたチームを、どう仕上げてくるかがポイントですね。
カンザス大のスターターはPGシェロン・コリンズ、SGブレイディ・モーニングスター、SFタイショーン・テイラー、PFマーカス・モリス、Cコール・オルドリッチ。去年のベンチメンバー、コリンズとオルドリッチが主力になって、その周囲を新入生とモーニングスターという2年生が固める布陣。や、こりゃもう完全に一新ですな。注目プレイヤーはオルドリッチ。高くて強い、本物のセンター。
対するシラキュース大はPGジョニー・フリン、SGエリック・デヴェンドーフ、SFクリストフ・オンジナート、PFポール・ハリス、Cアリンゼ・オニュアク。こちらはエースのフリンに注目。小さくて速くてさくさく撃つPGです。シラキュースは去年みていないので、フリン以外はさっぱりわからず。
試合はカンザス大のペースでスタート。パスをまわしてボールを中に入れ、オルドリッチのキープ力をいかしてさくさく点をとる展開。昨シーズンに比べればもちろん完成度は落ちるわけですが、いちおう今年も全員でボールをまわすバスケをやっていました。コリンズ、テイラーと、控えガードのティレル・リードがよくまわしていたねぇ。ただ、カンザスは今年も絶対的なエースがいなくて、そのぶん怖さはありませんでした。メンバー間で経験の差があるせいか、自然とコリンズにボールが集まっていくんだけど、彼はエースタイプではないから、彼を中心としたオフェンスには勢いはない。オルドリッチもまだ成長中で支配力はないし、ほかのメンバーにも爆発力がない。発展途上のチームという感じがしたねぇ。昨年の、チーム力と守備力、精神的な強さで勝ち進んだチームとは、やっぱりちょっと違っていた。
シラキュース大は序盤、カンザス大の連携におされてペースをつかめず、オニュアクのごりおしショット、デヴェンドーフの長距離砲で反撃するのが精一杯という展開。エースのフリンはコリンズに完全に封じこまれ、ただ走り回るのみ。撃っても入らず、苦しんでいました。シラキュースは終始10点前後の差をつけられて、劣勢でしたよ。ファーストハーフ終了時には、フリンってそんなにすごいのかなぁ?という印象だったねぇ。
ところが、これはカンザスの快勝かな、と思ってみはじめたセカンドハーフに、展開が一変。シラキュース大のガード陣がカンザス大のガード陣にぴったりついて、ディフェンスを強化。ゾーンをやめて、マンツーマンに変えたみたいです。それでカンザスのボールの流れが止められ、オープンスペースへのパス供給がストップ。シラキュースがスペースを消して、相手の展開力を封じた格好ですな。シラキュース大ガード陣がスティールを奪って速攻、ファールをもらって加点するという流れに。ここからフリンの逆襲がスタート。レイアップ、フリースローでざくざく得点していました。セカンドハーフ終盤は一進一退の攻防になって、彼の見せ場が続いていましたよ。や、彼はプレイが速いタイプのPGですね。どんどん攻め入って、レイアップで決めるかファールをもらうか、外にはたくか。プレイも判断も速いんで、ひとつのオフェンスがあっという間に完了する。パスファーストPGだという評判だけど、そんなにパスパスしていない気がするなぁ。カットインしてからのパスだねぇ。ま、線は細いけど、ああいうプレイならNBAでもなんとかなるかもしらんね。シクサーズのルー・ウィリアムズを、もう少しパスメインにした感じだな。
終盤は1点を争う展開に。カンザス大はなんとかリードを保ちながらラスト2分、1分まで粘ったんだけど、結局エース不足が響いて最後に相手の追い上げを許し、フリンのスリーポインターで72-72の同点に。そのままオーバータイムに入り、そこからはシラキュースが押し切って、結果としては見事な逆転勝利。スコアは89-81。フリンはセカンドハーフと延長で17得点。スタッツは43分25p(FG6-12)1r5a3s、5to。オニュアクが19p12r、ハリスが14p14r。デヴェンドーフが試合を通していい場面でショットを決め、20p(3pt3-7)。控えSGのアンディ・ローティンスが3pt3-8で9p。スティール3。シラキュース大はスティールで相手を追いつめたね。フリンとローティンスが3ずつ、デヴェンドーフが2です。終盤にスティールを奪って粘って勝つってのは、去年カンザスがファイナルでみせた試合運びですが、この試合では相手にやられちゃいましたな。
カンザス大は、セカンドハーフに入ってから攻め手を失い、それを修正できなかったのが敗因かねぇ。ロングショットが入らない、中にパスも入れられない、という展開で、オルドリッチがリバウンドを奪ってつないでも、点がとれないんで、どうにも点差が広がりませんでした。やー、勝てる試合を落としちゃった感じだなぁ。オルドリッチは結局、38分15p16r2a3s2b。大車輪ですな。ほかにコリンズが21p2a、テイラーが17p3r2a。モリスもダブルダブルで、11p11r6aです。モリスと双子のマーキーフ・モリスという人が5p4r。二人はどっちもPF的なんだけど、マーカスは器用なタイプで、マーキーフは力強いタイプなのかな。まぁ、あんまりじっくりみていないんで、まだよくわかりません。若いチームだからねー。もう少しシーズンが進んで、経験が蓄積された段階でのモリス・ツインズをみてみたいものですな。