タイラー・ハンズブロー

今週のNCAAはライバル対決。ノースカロライナ大学ターヒールズ@デューク大学ブルーインズ。同地区だというだけあって、たいそう熱い試合であった。満足満足。
今季2度目の直接対決。先月におこなわれた試合も、時間がなくて感想は書いておりませんが、いちおうみました。そのときはデューク大のPGグレッグ・ポウラスがスリーポインターをすぱすぱヒットしてチームをリード。9点差でノースカロライナ大を下していました。彼とPFカイル・シングラー、控えSGジョン・シェイヤーが長距離砲でインサイドの弱さを補い、見事な攻撃を展開。ノースカロライナ大は先発PGタイ・ローソンが欠場。代役のPGクェンティン・トーマスとSGウェイン・エリントンではリズムがつくれず、彼ら2人の3ptが0-8。バックコートの攻撃力という点で圧倒され、ホームアリーナで無念の敗退。Cタイラー・ハンズブローが28p18rとひとり気を吐いていたが、彼だけではやはり力及ばず、完敗でした。
その試合を受けての2試合目なので、デュークの長距離砲×復帰したタイ・ローソンという点に注目してみましたよ。解説の塚本さんも、タイ・ローソンの影響力についてたびたび言及してらした。1人のプレイヤーの力が、両チームの戦力バランスを動かすということの好例だったんじゃないかな。
ノースカロライナ大のスターターはPGトーマス、SGエリントン、SFマーカス・ギンヤード、PFディオン・トンプソン、Cハンズブロー。ローソンは大事をとってベンチスタート。この6人と控えSFのダニー・グリーンをあわせた7人が主力。対するデューク大のスターターはPGポウラス、SGダマーカス・ネルソン、SFジェラルド・ヘンダーソン、PFシングラー、Cランス・トーマス。トーマスを下げてセブンフッターのCブライアン・ズーベックを出したり、控えSGのシェイヤーを出したり。こちらも主なメンバーは7人。
試合はリヴェンジをねらうノースカロライナ大の猛攻撃でスタート。ハンズブローの強さを中心に手堅い攻めをみせ、さくさく加点していきました。ハンズブローは気持ちも強いし体も強いし、そのうえ技術が確かだから、いつも安定して点をとれる。素晴らしい。彼のほかにも、グリーンとエリントンの突破がうまく決まっていた。とくにタイ・ローソンが出てきてからは的確な攻撃に。インサイドを攻める→相手のポストプレイをブロック→インサイドを攻めるという流れで、デューク大のフロントコートの弱さを厳しくついていました。ゴール下を完全に制圧していたね。
デューク大は、得意のロングレンジ・ショットが序盤はまったく決まらず、ファーストハーフの早い時間帯で10点差をつけられるという失態に。中で得点できないから外に出す→でも中をあきらめたせいで相手のペリメーター・ディフェンスは厳しくなっている→外のショットがこぼれる、という悪循環に。高さがないからリバウンドもひろえず、一方的な展開だった。ノースカロライナ大のローソンとグリーンの守備がよかったなー。なにしろグリーンひとりで7ブロックですよ。彼らとハンズブローの守備によって、デューク大のトーマスとシングラーは封じられていました。
ファーストハーフ中盤、ノースカロライナ大のローソンが下がったところで、デューク大のポウラスが爆発。スリーポインターを3本沈めて、点差を一気に5までカット。ノースカロライナ大はエリントンがやり返して、リードを保持。ターヒールズは前回はスリーを決められて崩れていったけど、今回はそこをふんばって、ハンズブローの強引なショットで試合の流れを引き戻していた。結局、ファーストハーフの終わりにノースカロライナ大のショットが復調して、11点差に戻してハーフタイムへ。
セカンドハーフはデューク大がリード。シングラーやヘンダーソンのシュートが決まりはじめ、ボールがまわるようになって、攻めどころがみえてきた感じ。ノースカロライナ大のターンオーバーにも助けられていた。
ノースカロライナ大は、バックコート陣がドリブルやパスでイージーミス。点差がちぢまったこと、相手のスリーが入りはじめたことで、ちょっと動揺しているようだった。1対1の速攻でボールが手につかなかったり、ハーフコートのごく平凡なオフェンス中に観客にパスしてしまったり。そうこうしているうちに差が5点になり、4点になり3点になり、とうとう同点に。
デューク大としてはやっと追いついた、という感じだったんだけど、デューク大が2点を勝ち越したところで、ノースカロライナ大のディフェンスが復活。ラスト数分の相手の攻撃を完全にシャットアウトして、試合を決めました。終盤のローソンの集中力がすごかったなぁ。勢いづくデューク大のドリブルをするっとスティールして、逆襲にむすびつけていた。デューク大は守られると遠めのショットしか攻め手がなく、肝心なところでオフェンスの弱さが露呈してしまい、万事休す。78-68でアウェイのノースカロライナ大が勝ちました。
やー、やっぱりインサイドが強いと、競り合いになったときに崩れないね。ノースカロライナフォワード陣の強さが際だっていた。拍手拍手。そしてタイ・ローソンが戻ったことで、中と外のバランスがととのって、ハンズブローの攻撃とエリントン、グリーンの攻撃がうまく調和していたよ。前回は外がダメでハンズブロー頼みだったからなぁ。今回は外もうまくまわって、それが中にも好影響を与えていた。なんつっても、グリーンの爆発が大きかったね。彼がスリーポインター、速攻からのダンク、レイアップと多彩な攻撃をみせて、ノースカロライナ大のムードをつくっていた。素晴らしかった。スタッツでみても、ハンズブローの37分16p15rに負けず劣らず、25分で18p8r2s7b。この2人とエリントンの16pが試合の鍵でしたな。それを導き出したローソンも、もちろん功労者。やー、強かった強かった。これはトーナメントでもいいところまでいくんじゃないでしょうか。
デューク大は、ポウラスは前回と同じくよかったんだけど、シングラーとヘンダーソンがよくなかった。シングラーはインサイドでサイズをいかせず、外からのショットも不調。ヘンダーソンはときおりいいペネトレイトをみせていたけど、試合を通してあまり目立たなかった。力はあるのに、実質的にはサードオプション扱いで、チームを変えることができなかった。同点になってからの争いのなかで、もうちょっとやってほしかったねぇ。ポウラスやシェイヤーのほうが、気持ちを強くもっているようにみえました。高さの不足をチームプレイとロングショットで補うというのがデューク大の強さだと思うんだけど、そのふたつが両方ともうまく発揮できていない試合でしたな。セカンドハーフ前半のチームディフェンスはさすがだったが、それが最後まで続かなかった。
やー、しかしこのライバル対決ってのはおもしろいねぇ。試合の合間に挿入されていた、かつての対戦も、すごい雰囲気だった。白熱。いままではあまり意識したことがなかったが、これからはNBAプレイヤーをみるときにもノースカロライナ大とデューク大を出た人には注目してみよう。や、また楽しみが増えた。