原作を読まずにいってきました

くるり映画(違)天然コケッコーをみてきましたよ。以下ネタバレ。
やー、くるりよりハラカミさんがよかったね(殴)田舎で暮らす子どもたちを描いた映画だったんだけど、自然の豊かな風景とハラカミさんの音楽がぴったりあっていてすごくよかった。彼の音楽は楽曲って感じがしなくて、波動というか、音響というか、なんかこう、自然現象に近い感触があるんだよな。池に石を落としたときの音みたいな、ふわんとした響きがある。そういう波が風景と調和していて、大変に素晴らしかったです。ハラカミさんの音楽って映画にあうんだなー。やー、意外。まずそこがおもしろかった。
ストーリーは、田舎の学校に東京から転校生がきて一波乱起きるという、それはまぁベタな展開でした。そんで主人公の女の子がその転校生に恋をしてね。びっくりするくらいベタだったね。まぁでも、風景もおだやか、服装もおだやか、音楽もおだやか、話もおだやかってことで、話のベタさ加減がほかの要素とこれまた調和していたので、全体的にいい映画になってましたよ。時間の経過がちょっと早すぎたかな〜って気はするけどな。夏からはじまって秋がきて冬がきて春がきてって、季節がどんどんすぎていってしまうので、それがちょっと疲れた。原作ものだから仕方ないのかねぇ。役者や映像や音楽がおだやかな雰囲気だったことを考えると、時間の流れもおだやかにして、小さなエピソードにしぼって丁寧に描くほうがよかったような気がしますよ。でもそれじゃ本当に動きがなくてつまんないかな。いっしょにみた恋人は原作も読んでいて、映画は原作をうまくまとめてあると言っていた。いいはしょり方ではあったのだと思う。や、難しいね。
役者は、主人公の女の子も友だちの女の子もガキんちょたちも、みんなふつうにかわいいふつうの子で、たたずまいに無理がなくてよかった。東京からの転校生はダルビーをかっこ悪くしたような感じの男の子。背がでかくて体つきがしっかりしていて、高校生にみえた。中学生はもっとひょろいよな〜。その子がなぜか武藤敬司のファンで、部屋にポスターをはり、CDで武藤のテーマ曲を聴くという入れこみっぷり。なんだその設定。小学生のガキんちょと話しているシーンで「シャイニングウィザードかけてやろうか」とか言ってた。ガキんちょや友だちにすぐスリーパーをかけるのもプロレスの影響だと思うんだけど、武藤ファンならスペースローリングエルボーくらいやってほしいよな。俺の中学時代の友人は体育館でよくフラッシングエルボーをやっていたよ。や、転校生の子は物語の終盤で、東京の高校にいくことをあきらめて、主人公の女の子といっしょに田舎の高校に通うことを選ぶんだけど、その高校ってのが、男子全員坊主の学校なんだよね。彼は最初、坊主なんて無理だって言ってたのに、彼女のためにもその高校にいくことを決めて、ラストシーンではしっかり坊主になっていた。その判断にも、武藤の存在が影響しているのかもしれない(違)武藤ももろもろの事情で、やむをえず坊主にした男だからな(殴)
あと主要人物以外で、主人公の女の子にほれてる郵便局員がすごくよかった。主人公よりかなり年上で、報われない男。発言がいちいち気がきかない感じで微笑ましかった。彼と子どもたちみんなでお祭りにいくシーンの神楽がやたらと迫力があってよかった。カメラワークが凝ってておもしろかった。あと転校生の母がよかったなー。一度東京に出た人間なので、ほかの人と風貌が違うんだよね。彼女だけ妙に細身で、いつもいい服を着ていた。キャラクター設計が丁寧でよかった。なんかこう、全体的に丁寧につくられた映画だったね。ゆったりと、いろんな要素を楽しめた。満足満足。
で、くるりはどうだったかっていうと、劇伴のハラカミさんほどよくなかった。よくないというか、映画の流れにあってなかった。曲調やテーマはあってるんだけど、音の強さが、映画の質感にあっていないんだなー。映画が静かにしっとりと終わっていくとき、くるりが急にふつうの音を鳴らすもんだから、ちょっと違和感があった。ハラカミさんのあとじゃしょうがないのかもしれないけど、残念だったなぁ。監督も監督で、本編をあんなにおだやかにまとめるんだったら、エンディングもそれにあわせないとなぁ。くるり楽曲をハラカミさんがリミックスしたものにしたらよかったんじゃないかな。やー、くるりくるりでやるべきことをやっているのに、それが映画の一部としていかされていなくて残念だったよ。もうちょっとやりようがあったと思うんだけどなぁ。うーん。
ちなみに映画の最後に流れた言葉はさんかくは、シングルバージョンではありませんでした。アルバム版でもなかったような気がする。映画用に特別につくったミックスなのかな。初めて聴く質感だったような気が。一回限りだからよくわからんけどね。どっちかっていうとアルバム版に近かったな。
結局、映画をみにいっていちばん強く心に残ったのは、ハラカミさんの音楽であった。やー、ハラカミさんのアルバムほしい。あれは大きな公園を散歩しながら聴いたらすごくおもしろいんじゃないだろうか。