おもしろい

詐欺師の楽園 (岩波現代文庫)

詐欺師の楽園 (岩波現代文庫)

この本を読みはじめました。おもしろい。序文で笑った。
詐欺行為と真っ当な行為の違いは、質じゃなくて量なんだそうですよ。悪と善のまっぷたつじゃないんだね。詐欺は誤魔化しが多く、真っ当な行為は誤魔化しが少ないと。そういうことだと書いてあります。なるほどなるほど。
例として、結婚詐欺が挙がってます。結婚詐欺師ってのは、人の心をふみにじって金や時間をふんだくって、とんでもない輩ですね。でも真っ当な結婚だって、当初の思惑に反して相手を傷つけたり、金や時間をとりあったりするわけだ。つまり、誤魔化しの量は違えど、やってるこたぁ同じだと。いやいや、慧眼ですな。ま、屁理屈ではあるけれども、これも一理あるよね。
やっぱりアレだ。嘘はさじ加減が大事なんでしょう。騙されて泣けるか笑えるかってことだよね。や、俺はつねづね言葉に辛味をもたせたいと思っていますよ。心をむしばむ毒じゃなくて、脳にピリッとくる辛味ね。物事に対する概念をかためっちまわないように、自分の脳みそを刺激していたいんだな。んでそういう刺激をまわりにもまき散らしたいんだ、きっと。そのさじ加減が難しいんだけどね。
人様が俺の嘘を聞いて「そんなこたねえだろう、でもひょっとして……」なんて思ってくれたら最高なんだけど、なかなかそうはいかないのよね。言葉だけで他人の視点をねじるってのは、そうそう簡単なことじゃない。やー、世界は過酷で甘っちょろくなんかないってことですな。精進精進。