読了

殺人展示室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

殺人展示室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ミステリー。ダルグリッシュ登場。殺人事件にまつわる品々を展示している博物館で、展示物にちなんだ模倣殺人が起きる話。
やー、けっこう長かったなぁ。ジェイムズは主要な人物全員の生活を描こうとするから、どうしても場面が多くなって話も長くなるね。やーでもおもしろかったっす。
ジェイムズの文章は、話にむやみに抑揚をつけようとせず、一定の温度、速度で続いていくから、物語の世界に浸りやすい。たいがいのミステリーは種明かしをクライマックスにするけど、ジェイムズの場合ラストよりも事件が起きる瞬間のほうが、緊迫度が高い。解決にむかって、だんだん熱が引いていく感じ。その穏やかさが独特で、気持ちいい。
終盤に唐突な展開がいくつかあってどうかと思ったけど、それ以外はしっかり楽しめた。古典的な構成と現代の話題がいい具合にマッチしてると思います。でも話が長い割には刺激が少ないから、人にはすすめない。
そういえば作中に携帯電話が出てきてびっくりした。ジェイムズってそんなに最近の作家だっけ??と思ってしまった。あとがきを読んで納得。82歳のときの作品なんだそうですよ。82歳かー。それでこれだけの本を書けるってのはすごいな。クラットンていうお婆さんが準主役になってるのは、著者のことばを載せやすかったからかな。