読了

LOVE

LOVE

愛の話。主役は人間と猫。舞台は目黒区、品川区、港区など。
いっやーおもしろかった!!ベルカが犬の話、ロックンロール七部作がロックの話であるように、これはラブの話です。タイトルに偽りなし。そしてラブだけではありません。猫も出ます。いや、猫そのものがラブそのものなのかもしれない。犬の歴史が戦いだったのに対して、猫の歴史は愛です。猫は愛。素晴らしい。猫飼いたい。
文章は例によって難解です。一見して意味をつかめない文章も出てきます。よく考えないと理解できません。でも、よく考えながら読めば、楽しめます。いい本です。俺は過去に古川さんの本を2冊読んで、ベルカのときは地の文が冷たくて嫌だったんだけど、この人はいつもこうなんだね。こういう距離感で物語をつむいでいく人なんだ。語り手が常に、主役とは別の場所から物語を見ている。それがこの人のスタイルなのだとわかりました。今回はすっかり慣れて、地の文も楽しめました。話の閉じ方がいい。ロックほどではないけれど、これも各章最後の1ページがすごくいい。
形式としては4章構成の連作短編集です。でも、古川さんはそういう考えで書いてはいないみたい。実際、長編のような気もします。それを承知のうえで目次通りに4話にわけて考えると、俺は2話と4話が好き。1話も好き。3話はピンとこなかった。3話の愛は俺にはまだわからない愛なのかもしれない。
いずれにせよ、猫が好き勝手に生きている世界ってのは、平和で美しい世界だと思う。猫に自由を。そう願わずにはいられない。そして俺もいつかキャッターになりたい。スギナミ・キャッターズを結成したい。あぁ!猫!!