尽きることのないシムノン

O探偵事務所の恐喝 (名探偵エミールの冒険 4)

O探偵事務所の恐喝 (名探偵エミールの冒険 4)

推理小説。探偵事務所の4人組が事件を解決する。所長のトランスは猪突猛進の元刑事。部下のエミールは推理担当。元スリの通称噦バルベ犬器は危険な現場を嗅ぎ回る。秘書のベルトは3人のサポートに力を尽くす。この本には短編3話を所収。赤あざの男に盗まれたミンクのコートを取り戻す話、どこかに監禁された男を少ない情報から捜し出す話、探偵事務所の名を語って恐喝事件を起こした犯人をつかまえる話。
面白かった。こないだ読んだ『メグレ罠を張る』は推理色が弱かったんだけど、これは完全に推理ものだった。トランス所長の周囲で不自然なことがいくつも起きて、わけがわからなくなったところで、エミールが事件を解決。謎が解き明かされると、ぜんぶ納得できてすっきりする。探偵事務所の面々もみんな魅力的だし、これはすごく読みやすいシリーズだなぁと思った。ものすごく面白いってわけじゃないけど、シリーズの別の話も読んでみたいなーって気にはなった。
本を読んだ後、あとがきとか別の本を読んで知ってびっくりしたこと。この人、長編を200本以上、中編を200本以上、そして短編・寄稿を1000本以上も書いたそうですよ。人呼んで噦尽きることのない器シムノン。すげー。1400本ってことは、年30本を休まず書き続けて50年くらいかかる計算。すごい。すごすぎる。しかも本人が語ったという記述によると、創作の合間に生涯10,000人の女性と関係をもったそうです。なんだそれ。