流星の絆

流星の絆

流星の絆

東野圭吾の話題作。両親を殺された子どもたちが、自分たちの手で殺人犯を追いつめる話です。以下ネタバレあり。
いやー、読みやすかった。とにかく文章が軽い。約500ページあるんだけど、2〜3時間で読み終わりますよ。すごい。カロリーゼロって感じ。
主人公の子どもたちは長男、次男、長女の3兄妹で、妹だけ血がつながっていない。その3人が、両親を殺害されてから14年後に集まって、殺人犯を探す。いろいろあって怪しい人物がみつかるんだけど、その後またいろいろあって、妹がその人物の息子に恋をしてしまう。3兄妹はいったいどうするのか、という話。
やー、これはなんちゅうか、小さくまとまった小説だねぇ。500ページもあるのに、3兄妹と容疑者親子と刑事しか出てきませんよ。なにこの骨の細さ。そういう構造なんで、読みはじめるとすぐに犯人がわかります。そして動機も推理も非常にシンプル。とにかく読みやすい。
とくにテーマもなく、複数のエピソードがあるわけでもないので、人間ドラマもやっぱりシンプルです。ストーリーに逆らう人がひとりもいない。すごいよなー。まぁただ、さすがに骨も肉もそぎ落としすぎてしまったようで、読み終わったときになんの感慨もわきませんでした。あまりにもあっさりしているんで、驚いた。
やー、これは東野さんのアベレージ以下の作品だろうねぇ。容疑者Xはもっとおもしろかったし、ほかの本も1冊のなかにいくつかは、心を動かされる文章があったような気がする。これもそういうタイプの、なにかちょっとメッセージを入れた娯楽作なんだろうと思って読んでいたら、なにもないまま終わったので、びっくりしました。
なんでこれがあんなに話題になって、あんなに売れたんすかねぇ。宣伝効果なのかなぁ。いやー、いろんな意味で腰が抜けそうになる本でした。