羽海野チカは熱い

3月のライオン 2 (ヤングアニマルコミックス)

3月のライオン 2 (ヤングアニマルコミックス)

今日もマンガを読んでおります。今日は3月のライオン。やー、熱いね。このマンガの主人公は、本当は二階堂くんなんじゃないだろうか。二階堂くんが熱い。
や、羽海野さんってかなりの熱血マンガ家だね。このマンガを読んでたら、島本和彦を思い出した。なんか無駄に熱くなっちゃったよ。
3月のライオンは、平たく言えば天才棋士の自分探しを描いた話なんだけど、その天才の桐山くんは、棋士としての人生にいまいちのっていけてなくて、なんだかずいぶん悩んでいるんです。で、親友でライバルの二階堂くんが桐山くんのどっちらけな生き方を憂いて、彼を励ますんだけど、その言葉が、そしてその態度が、すごく熱い。ぐっとくる。それは桐山くんへの友情でもあり、将棋への愛情でもあるんだよな。悩んで棋風が荒れている天才に対して、もっと大事にしろ、と言うわけですよ。その場面で目頭が熱くなった。
この熱意は、きっと羽海野さんご自身の、マンガに対する熱意でもあるのだと思う。マンガで人の気持ちをちゃんと描こう、ちゃんと描こうとして、全力投球している羽海野さんの熱意が伝わっているからこそ、二階堂くんが熱いんだと思う。で、それは島本和彦の熱さにもちょっと似ていると思うんだよな。羽海野さんも、島本和彦も、別にめちゃくちゃマンガがうまいタイプじゃない。でも、マンガへの情熱はものすごく熱くて、その熱意によって、キラキラと輝くマンガを描いている。なんつうかこう、その、なにかに向き合う熱意ってのが、羽海野さんのキラキラ感のもとなんだと思った。このライオンを読んで。
やー、そうなんだよな。ハチクロもそうだったけど、このライオンも、出てくる人がみんな本気なんだよね。人生に対して。青春の塔をつくった竹本くんも、ライバルを励ます二階堂くんも、本気だから熱いんだよな。青春の塔をみた先生方と、二階堂くんのビデオをみた先輩棋士たちが、どちらも身をよじっていたのは、本気が熱くて面映ゆかったからだと思いますよ。羽海野さんは、本気のみっともなさを知っていて、でもそれを正面から描こうとしている。だから熱い。
ハチクロのときは、こういう少年マンガ的な要素はあまり気にならなかったんだけど、今回のライオンでは、しっかり心に入ってくるねぇ。そういう意味では、これはちゃんと少年マンガ、青年マンガになっているなぁ。やっぱり、恋愛よりも将棋にポイントが置かれているもんねぇ。や、ちゃんとしているなぁ。
そういえば、前回は悩まぬ天才・森田と悩める凡才・竹本のコンビだったのが、今回は悩める天才・桐山と悩まぬ凡才・二階堂の組になっていますね。二階堂は凡才じゃないかな?や、でもいずれにせよ、バランスが逆になっている。それもおもしろい。