くるり SPECIAL TALK LIVE@TOWER RECORDS 渋谷店

ジュビリー購入特典のトークライブが見事当選。愛は通じるってことでしょうか(違)や、休日だってことで、昼間っからつまみをつくって酒を飲み、千鳥足で渋谷までいってきましたよ(殴)
以下感想。彼らが選んだ単語や口調を正確に再現することはできませんが、思い出せるかぎりで書いておきます。ものすごい長文ですけれども、メモをしたわけじゃないし、もちろん録音したりなんてしてません。ぜんぶ記憶です。俺はくるりが好きだからね。覚えているっていうか、彼らの言葉や音を、体にとりこんでいるんだよね。その結果がこれですわ。他のバンドで同じことをやれと言われても無理です。や、我ながら気持ち悪い。そんなにくるりが好きなのか(死)
トークのなかでワルツやツアーのネタバレ情報がちょこちょこ出てきているので、余計な情報をみたくない人はスルーしてください。
トークライブってなにをやるんじゃろうか?ライブハウス並の設備があるんだし、2、3曲演奏するんじゃないか?と思いながら、タワレコ渋谷店の地下へ。開演40分前からすごい列。やー、人気者だなぁ。男女比は1:20くらいでした。すげえバランス悪いな。並んでダラダラ待っていたら、開演20分くらい前から入場がスタート。
場内に入ってみると、なんとパイプイスが並べられていました。うおー。なんじゃこら。やー、ふだんオールスタンディングの会場にイスが並んでると、びっくりするね。とりあえず前のほうを確保。せっかくだからね、芸術パーマを間近でみたいじゃないすか(死)
ステージ上はテーブル1つとイス3脚。ニャッキーも出るのかな?と思いつつ待機。すると、タワレコスタッフさんが出てきてごあいさつ。そしてイベントの説明。今日はただのトークライブではなくて、ニューアルバム「ワルツを踊れ」から何曲か聴きながら、それについて話をするイベントだと。うおー!それはアガる!や、先行試聴会ってやつですね。初体験初体験!さらに、今回はスペシャルMCとしてSNOOZERのタナソーがきているとのこと。おーおーなるほど!司会者ね!それでイス3脚か!
ってなわけで、スタッフさんに促されて、タナソー登場。すごい髭!(罪)そしてタナソーに続いて、くるりの2人が登場。社長は欽ちゃん走り。岸田は優雅に回転して芸術パーマをふわり。なんだこのロックバンド!(笑)
3人で軽くあいさつをして、1曲目の説明へ。アルバムの1曲目、2曲目でもある、ハイリゲンシュタットとブレーメン。タナソーが口をくねらせて「ハイリゲンシュタット」って言いにくそうにしていておもしろかった。ハイリゲンシュタットは社長の曲だそうです。他の曲で使ったストリングスをコラージュして、1つの曲に仕上げたもの。図鑑のイントロみたいなもんですな。
全編ストリングスのインスト曲に続いて、2曲目はブレーメン。シンプルなギター&リズム+きれいなメロディで、牧歌的に歌うようにはじまって、どんどん変な展開に走っていく曲。すごかったー!サンプル盤で聴きじゃくっているというタナソーが、興奮して「くるり史上5本指に入る」と言っていたけど、たしかにそういう名曲感ただよう歌でした。歌→変なリズム→ものすごい演奏、みたいな多層的な構造になっていて、後半のセッション的なパートがものすごかった。あんなのライブでどうやるんだろうなぁ。やー、ブレーメンは図鑑的な奇怪さのある曲でした。岸田と社長は曲にあわせて体をゆらゆらさせていたよ。ときどきエアギターっぽい動きをみせたり、ドラムを叩くマネをしたり。あと指揮棒を振るような仕草もしていた。やー、くるりの曲を聴く岸田をみるってのも、おもしろいもんですねぇ。で、俺は「シンプルなギター」と感じたわけですが、曲が終わったあと、岸田はこの曲について「20個くらいコードを使っている」「こんなおさえ方してるし(と言って、左手を難解なコードをおさえる形に)ものすごい苦労しているのに、それに気づいてもらえない」「でもそれがかっこいい」みたいなことを言って、悪たれてました(笑)やー、難儀なことを好む人だねぇ。
ブレーメンの前だか後だか忘れたけど、クラシックとの関わりについても語ってましたよ。そもそも今回のレコーディングがくるり、ウィーン、クラシックということになったのはなぜか。他のインタビューでも言っている通り、去年ウィーンを旅したことがきっかけだと語っていました。クラシックのコンサートで感じた充実がすべてだと。岸田は、クラシックはすごい!クラシックのライブにいったらちんこがむけた!いや、むけたっていうか、皮がない感じ!と熱弁してました。やー、ひどかった。社長もそれを追撃するべく、クラシックは勃起する!と熱弁。ひどいロックバンドですなぁ。クラシックのコンサートで味わう皮膚感覚を表現しようとして、それがことごとく下品な言葉になっていくのがおもしろかった。
タナソーが「レッド・ツェッペリンの曲を聴いたときのような、ロック・ミュージックの盛り上がりとは違うものがあるということ?」って質問をしたら、社長が「スポーツ観戦をしたり、ドライブしていい景色をみたり、そういういろんな体験のぐっとくることに近い、そういうことも含む感動を、音楽が表現できるんやな〜と思った」というような答え方をしていた。クラシックの豊かさを伝えようとして、でもやっぱりその豊かさは言葉では伝えきれなくて、という会話。おもしろかったなー。岸田は、ふつうのライブは二度三度鳥肌がたつけどクラシックは鳥肌が立たない瞬間が二度三度だとか、鳥肌のウェーブみたいなもんだとか、そのウェーブは見方によって色が違うとか、いろんな言葉で自分の感動を表現してました。わかるようで、わからない言い回し。やー、おもしろかった。
クラシックについて、岸田はいままでモーツァルトは聴かず嫌いをしていて、基本だからあえてはずす、っていう態度でいたそうです。でも、ウィーンで生誕250周年のコンサートを味わって、あらためて聴いてみたら、やっぱりモーツァルトはいい。その感動はすごい、と言ってました。で、そういう偏屈な態度について、ビートルズでたとえ話をしていましたよ。音楽ファンはみんなジョンの曲がいいと言うけれど、マニアはハリソンがいいと言う。自分もそうだ。でも、語弊はあるけれど、みんなにいちばんよく知られているのはポールの曲で、やっぱりポールの曲もいい。外ではハリソンがいいと言っていても、家ではポールを聴いていたりする(笑)ってな感じで、たとえてました。やー、自分のひねくれ具合を自嘲気味に語っていて、彼らしいなぁ、と思ったね。
ブレーメンに続いて、恋人の時計。平井堅に対抗してとかなんとか、ジョークを言ってからスタート。時計がチクタク鳴ることと、時間に振り回されるイライラ感を、歌にのせた感じの曲。おだやかめ。テーマとして「恋人といっしょにいるときくらい、時計を捨てて自由になろう」ってなことが根底にあるそうです。
時計の曲の仮タイトルだったか他の曲だったか忘れたけど、レイジ・アゲインスト・ザ・駅すぱあとって曲もあったらしいよ(笑)彼は駅すぱあとのような検索システムが嫌いなんだそうです。乗る車両を指定されるのが嫌なんだってさ。好きな車両がきたらそっちに乗りたいらしいよ。気分や行動を指定されることに抵抗を感じるみたい。や、電車の話がからんだとは言え、岸田が自分の曲についてストレートに語っていて、びっくりしたよ。
時計の曲については「なんにでも意味をつけるのはよくないことですが」と前置きをしたうえで、曲途中に転調があることと、そこに不協和音を入れたことについて、くわしく説明をしていた。この歌で描かれている人は、最後に時計をはずしている。そこで気持ちが変化しているんだそうです。で、転調はその変化を表していて、なおかつそこに不協和音が入っているのは、変化には違和感のようなものが伴うからだと、そんなことを言いたかったんではないだろうか、と自己分析してました。やー、その説明はすごくしっくりきたね。彼の歌には踏み出すことのつらさと歓びが描かれていることが多くて、俺はそこから変化を怖がっていては進めない、というメッセージを受けとっているので、そういう感情を彼の口から聞くことができて嬉しかったなぁ。捨てるというのは、楽なことではないけれど、やっぱり人生に必要な選択なんだよね。
「恋人の時計」について、岸田が「この曲好き」「クラブスヌーザーでかけてくださいよ」って言ったら、タナソーがそれは無理ってな返答をしていた。クラブスヌーザーにくるのは酔っぱらって血気盛んになっている若者で、どんつくどんつくっていう、リズムの激しい曲じゃないと盛り上がらない、みたいなことを言ってましたよ。むしろそれはワルツのいいところだという主旨で、「恋人の時計」は他の音楽とは逆の、ゆったりした音楽としての価値があるってな感じの主張をしていたけど、そうなのかなぁ。俺は、ストリングスを使ったり、ゆったりした曲調にしたり、クラシックをとりいれたりしても、やっぱりくるりのロックになっているところがいいと思うんだけどねぇ。俺はジュビリー聴いてがんがん踊ってるんだけどなー。うーん。なんつうか、曲ごとに踊る踊らないってのを決めてかかっちゃうと、ライブもイベントもつまらなくなると思うんだよね。そんなかたいこと言ってないで、人それぞれに、鳴ってる音を体でキャッチすればいいんじゃないかなぁ。そう考えれば、別にどんな曲をかけたっていいと思うんだけど。違うかなぁ。やー、俺はただ踊れるだけの、ただ楽しいだけの音楽なんていらないなぁ。いろんな音楽がある、豊かなイベントにいきたい。
音楽の豊かさということについては、ブレーメンか時計の話の延長で、岸田が「僕らはロックンロールを演奏するのが大好きで、どんな曲をやってもロックンロールな演奏をしてしまうんですけど、でもスリーコードでシンプルに、っていうようなのもどうかと思っている」「複雑な感情を音楽にするためには、かいつまんでやらなければいけない部分もあるけれど、できるかぎり複雑なものをそのまま表現したい」というようなことを言ってました。やー、岸田かっこいいな!ロックンロールを演奏するのが大好きな31歳!すげえ!かっこいい!!
その話のなかだったかどうか定かじゃないんだけど、タナソーがディープパープルをシンプルなロックの例みたいにして出したとき、岸田が「ディープパープルを悪く言わないでください。ザ・フーと同じくらい好きなんやから」と言って、切ない顔をしてました。岸田かっこいいな!(紫)
で、4曲目はアナーキー・イン・ザ・ムジーク。ムジークはドイツ語で音楽の意。そういう言葉を曲名に使ったことについて、岸田が「俺らペラペラやから」と言っていた。そんでタナソーが「じゃあ、ドイツ語でおはようは?」岸田「モルゲン」タナソー「愛してるは?」岸田「ジュテーム」タナソー「違うやろ!(笑)」岸田「ふはは(苦笑)」ってな感じの漫才をやっていた。
アナーキーは、タナソーいわく、ストリングスを攻撃的に使った曲。その言葉通り、バイオリン?がカッティングするギターのごとく、エッジを立たせて(って表現でいいのかなぁ)ザクザク鳴ってました。岸田の声は暗く落としておさえめで、歌よりも伴奏が際立つようなバランス。雰囲気は沈んでいて好きだったんだけど、曲は全体的に跳ねていてあまり好みではなかったなぁ。ま、今後ライブで聴いてどうなるかっつーところですな。りりんりんのように、第一印象とその後ががらっと変わる曲もあるからね。
今回のアルバムでストリングスを入れまくってることと関連して、タナソーがライブではどうするのか?っていう質問も出していた。岸田が「これ(バイオリンの仕草)は使いませんよ」って答えてた。びっくりだね!どうも弦楽器は使わないみたいだよ。岸田が「違うやり方で表現する」「お客さんがあ〜、それならできる!って思うようなもの」「頭のいい人だったら、予算がおさえられるからだ!って気づくんじゃないですか(笑)」って言ってた。キーボードでぜんぶ片付けるのかなぁ。プログラミングとか?エレキバイオリンのすごいのとか?そんなのあるのか?や、そうすっと、もしもどこかでストリングスを入れるとしても、中野だけとか、大阪だけとか、京都だけとか、追加で武道館とか、そういう感じで限定になりそうだね。
4曲終わってしゃべったあたりで、時間がいっぱいに。でもタナソーと岸田が舞台袖に「もう1曲聴きたいっすよねぇ?」って懇願して、1曲サービス。カフェ・ハベルカ。東欧のパラパラ〜って感じ、という説明の通り、民族衣装を着て踊るような、いかにも東欧な感じの曲。間奏がメンバー全員での「パラパラパラパ〜、ヒューッ!」ってかけ声だったり。えらく陽気な曲だったなぁ。まゼップツアーの鼓笛隊みたいな印象。音源では土着な感じが強すぎて弾けたおもしろさはなかったけど、ライブでいろいろアレンジしたらおもしろくなるかもねぇ。あーいう曲調には伝統芸能ならではの強さがあるから、それをベースにいろいろやったらすごい爆発力を発揮するような気もします。
やー、しかし全体的にヨーロッパに染まっていて驚いたなぁ。曲ごとの質感がかなり異なっていて、いまいち消化しきれなかった。ライブも雑多な感じになるのかな〜。いやー、試聴会ってすごくわくわくする部分と、消化不良でもやもやする部分と、両方あって複雑だね。ハベルカが終わったところで、お開き。ラストに退場SEとしてジュビリーを流してました。ワルツ全14曲中6曲を、ライブハウス並の音響で味わったっつーイベントでした。やー、満足満足。楽しかった楽しかった!

  • 1. HEILIGENSTADT
  • 2. BREMEN
  • 3. 恋人の時計
  • 4. ANARCHY IN THE MUSIK
  • 5. CAFE HAWELKA
  • 6. JUBILEE

やー、俺はブレーメンがいちばん好みだな〜。あれはアガるよ。ライブが想像できた。岸田がエアギターで腕回してたしね(笑)イベントにいく前は、ライブだったらいいなぁライブだったらいいなぁと思っていたんだけど、先行試聴会ってのもおもしろいもんですね。あんなに集中して音源を聴いたのは初めてだなぁ。やー、楽しかった。岸田や社長の考えをたくさん聞くことができたし、ブレーメンが最高だったし、ワルツの断片を味わってワルツがますます楽しみになった。やー、試聴会またやってほしいな〜。